切れっぱしを集めた希有の本

・われわれは世界の全体がどうなっているか、まだ知ったことなどない。

つくづく、うなづく。

・われわれの前には、ほんとうは常に断片しかおかれていないのである。いっさいは編集された現実感にすぎない。

「フラジャイル」筑摩書房刊。

松岡正剛セイゴオ兄さんの「中間点」と勝手に決めているFragileを、やっと手にする。

20代で始めた雑誌「遊」を、どういう思いで編集してたか。現在進行形の「千夜千冊」で、何をさがしているのか。

永年「あれから出発しないと」と思ってた本。1995年初版。「壊れもの」だから、取り扱いに注意して読まねばならぬ。

まず、弱さ・少なさ。

薄弱、軟弱、虚弱、脆弱、弱気、当惑、あやうさ、あいまいさ、華奢、繊細、些少、瑣末、細部など。

あわれ感。

はかなさ、さびしさ、わびしさ、おぼつかなさ、たよりなき、いじめやすさ、ためらい。

劣等では。

貧弱、下等、賎視、汚穢、疎外、差別、愚者、弱体、欠如、欠陥、不具、挫折。

そして断片。

不安定、不完全、例外、意外、奇形、異質、部分、異例、珍奇、不足、毀損。

並べると、ヨノナカは弱々しくておぼつかないもので満ちている。

これに、辺境性や辺縁・際を加えて、何と呼べばよいかわからなかったので、セイゴオ兄さんは「フラジャイル」と仮称した。

たとえば、トワイライト・シーン。

昼でもない、夜でもない。twilight2つの光が混じり合う時。薄明文学が生まれ、夕方科学がひらめき、黄昏れがどこかに誘う。

強さは、単純に「のし」が付く。全体は、多様な弱さで組まれてる。

ミクローシュ・ペレーニ