多島海を巡航する手があった

聞いた言葉で、その後引きずるのは、音感です。どこで聞いたんだろうか? 忘れた。

アーキペラゴ。なんとなく、流動的な。

詩人の吉増剛造さんが、文化人類学の今福龍太さんと対談している本があったので、読んでみた。

その名も、まんまの「アーキペラゴ岩波書店刊。

固有名詞では、エーゲ海のことだった。一般名詞では、群島とか多島海。あぁ、太陽を反射する楕円形の盤に波が起毛し、島々が浮かぶさまが浮かぶ。

ギリシャ語らしい。アーキは原型・祖型。ペラゴは海。始りの海。人類発祥のシーンか。体の成分の隠喩とも感じる。

島は大陸から離れて、浦に広がる小さな、それぞれがちょっと独立したコミュニティでもある。それは、他者とつながる個人でもあるような。

2人の対談は、奄美大島で行われた。島に暗幕を張って上映された「島の唄」から話は始まる。吉増剛造さんの魂の航海を描いたものらしい。

渚に暮らす古老たちの声と舞いを見る。群島に生死の気配が忍び寄る時の訪れを、詩人は感じる。

残念ながら、UTubeでは見られない。代わりにあったのが、「吉増剛造さんとともに歩く、佇む」。

写真をやるんだ。本の装丁にも、彼の写真が使われていた。

※おまけ

ベンダース監督の映画「パリ・テキサス」は、サム・シェパードの「モーテル・クロニクルズ」の言葉のイメージから撮影されたものらしい。

言葉は、人を動かすよね。

魂の砂漠性。モーレツに読みたくなってきた。

風景は、ガジュマルの樹とタニー・ウィネット