体をしっとりさせるオイル

麻布の善福寺の山号は、麻布山だった。

「ちょっと、手を合わせてくる」と言いおいて、賽銭箱に向かった「迷子だっち」。僕は、彼女からプレゼントされた小びんを見る。

ふたに、カレンデュラ・オイルと手描きされてる。我が誕生日を覚えていてくれた。うれしい。

何のオイルかといえば、乾燥対策のもの。カレンデュラ・ローズ・サフラワーなどのハーブは、肌に良いらしい。それを、太白ごま油に浸す。

体じゅうどこに塗ってもOK。髪にもいい。

「ごま油って、食用じゃないの?」

「オリーブオイルだって、食用にも肌にも使うでしょ」。と言われてもピンと来ない。女はたいへんだ。それに、体の上から下までどこに塗ってもOKというのも、混乱する。

「迷子だっち」は、日本・海外を旅している。ヨガもやる。星占いもやる。ハーブの知識も豊富。こういうスキンケア品も手づくりするのだという。

「すごく楽しい」。

部屋で、ボウルだのピンセットを使って調合してる時の彼女は、きっとごきげんなんだろう。

紅葉散歩でもしましょ、と2人でやってきた麻布山善福寺。

安政5年、日米修好通商条約で、それまで伊豆下田にいた総領事ハリスは、公使に昇進する。安政6年、善福寺はアメリカ公使館となる。

新任のケネディ大使は、50代か? キャロラインちゃんにもカレンデュラ・オイルは有効だろう。

肌対策に性差は関係ない。が、ひとまず、かみさんに渡す。ハーブの香りに、大喜びだった。ありがとう。

カーラ・ボノフ