度胸千両で生きる、無法松

「雲のうえ」は、北九州市のPR誌。全国の自治体広報誌で1・2を競う完成度だ。

市の名前は、いっこうに定着しない。相変わらず、門司・小倉・戸畑・八幡・若松だね。

火野葦平「花と龍」の舞台の中心は、若松港。築豊の石炭は、ここから艀に運ばれて大型運送船に移る。

港湾荷役労働者が活躍する。すべてを、沖仲仕というのだと思っていたら、違った。それは、海上だけ。陸の部分は、陸仲仕というのだ。いずれ劣らぬ荒くれ者。

男たちだけが働いていたわけではない。女仲仕という。まとめて「ごんぞう」。労働で歌われたのが、「ごんぞ歌」。

あたしゃ仲仕で、半纏育ち
長い着物にゃ縁がない

カリブのバナナボートソングも、荷役労働の歌じゃなかったかな? 残念ながら、「ごんぞ歌」はUtubeにない。

「雲のうえ」19号は、北九州の歌の特集。

古老がインタビューで、「ごんぞ歌」を披露していた。

戸畑のタクシー運転手の思い出は、祇園祭。夏に行われる。昼は、のぼりを立てた山笠。夜は、ちょうちん山笠を屈強な男たちが担ぐ。ご存知「無法松の一生」に出てくるシーン。

こちらも火野葦平の小説だと勘違いしてた。原作は、岩下俊作の小説「富島松五郎伝」。映画化された時の名前が「無法松の一生」だった。舞台は、小倉。

人力車夫の松五郎と、友人の未亡人・良子の淡い物語。息子・敏雄を見守る物語。

歌は、村田英雄で大ヒットした。

でも、未亡人・良子の立場から歌えば、石川さゆりで決まり。

もう、何回も映画化されてます。僕が見たのは、三国連太郎の松五郎。そうだ、また映画化してほしいよ。

配役は、佐藤浩市石川さゆりでどうでしょう。