ルーブルで展覧会を開く作家

1回で、3度おいしい。

作家と翻訳者を同時に見た、聞いた。作家のウェブサイトで日本語ページを運営してる担当者も同席していた。

ジャン・フィリップ・トゥサン「マリーについての本当の話」講談社刊。

11月29日発売に合わせ本人が来日し、野崎歓さんが司会・解説をした。

「浴室」「ムッシュ」「カメラ」が出たのは1980年代。読んで、パリ留学を決めた女子がいたっけ。

「これは、4部作です。『マリー』は3作目で、すでにフランスでは4作目が出てます」。

2000年代から始まった「愛しあう」「逃げる」に続く「マリー」。このあたり、読んでない。時系列を追った小説ではない。というけれど、ここは1作目からまた読み始めたい。

「愛しあう」は、新宿のホテルで別れ話をする男女のシーンを見て書き始めた。時は、冬。

「逃げる」は、中国とエルバ島の夏が舞台。

「マリー」の原点は、馬。「馬が飛行機に積み込まれる。狭い機内で嘔吐するイメージが、最初にありました」。会場で上映されたのが「ZAHIRザイー」という短篇映画。春夜の空港をさまよう幻想的なサラブレット。

写真家でもあり、映画監督でもあった。

「透明な立体を建築するという言葉が好きなんです」。どこからでも入れる小説作法。季節も、土地も、人格も。

嘔吐する馬が自分だと読者が感じたら、作家は成功したことになる。

GiedRé