書斎なら引くけど、遊び場なら

去年、テレビで見た杉浦伝宗さんが気になっていた。

20坪以下の敷地に家を建てるのが得意な建築家。本人のネーミングなのか、狭小住宅という。

どうすれば、息苦しくない家にするか。3つの工夫があるのだ。

1つ目は、透ける。向こう側が、かすかに見えるようにすれば、仮の空間を得られる。逆転の発想でしょう。

2つ目は、兼ねる。複数の機能を持つ部屋なら、単体の独立部屋は数が少なくてすむ。さしせまった方法。

3つ目は、抜ける。天井・壁・床の一部を切り取って空間を拡大する。遮蔽物で、すべてを閉じ込めない。

常々、部屋を密閉することが嫌いで、自室のドアすら閉めたことがないので、彼が好きになった。

「ミニ書斎をつくろう」メディアファクトリー新書刊。

ここでいう書斎とは、本だけの意味じゃない。

英語にdenという言葉があるらしい。「巣」「獣の住処」から転じて、隠れ家・遊び場・秘密基地・ワークスペース・寛ぎ空間・工作部屋・趣味部屋。

もともと、家は女のもの。男が居住するなら、かすかな・わずかな・涙ぐましい場所があってもいいじゃないかという提案。

「ミニ書斎」とは、独立した部屋ではない。

部屋の一部を活用する。寝室・リビング・廊下・階段・玄関に2〜3畳の広さを確保して、世帯主が自由な時間を過ごす。

机・椅子、そしてパーテーションがわりの本棚が基本セット。あとは、使い勝手にあわせる。簡単だから、何かを作るにもDIYでできる。

完全に独立しているのではなく、かつ異空間も確保する。透ける、兼ねる、抜けるの三大原則が、ここでもみごとに生きていた。

ファンキー・ミーターズ