寒波襲来しても、熱き心を

NACK5なんていうFM局があったんだ。2時間たっぷり「語り尽くせないこの思い! 大滝詠一さんを偲んで」。

DJは、アルフィの坂崎幸之助兄さん。

いみじくも、「ミュージシャンズ ミュージシャン」だったらしい大滝詠一。彼の音で、自分も音楽をやろうという人々が多いのだ。 

坂崎兄さんも、「ハッピーエンド」で目覚めた。40年以上前の話。番組で流れたものも、すべて70〜80年代のものばかり。

大ヒットアルバム「ロング・バケーション」で唯一、極寒の地を歌った「さらばシベリア鉄道」。

ヒット連発から90年代以降は、ラジオ出演だけ。本人は、DJが作品だと話していたらしいのだが。

「人生は、暇つぶし」と、よく口にしてた。「暇つぶし」って語呂、いいでしょ? 大好きなんだ。足の爪を切る姿勢のように、一人うつむき猫背でプチッと静かな音をたてて「つぶす」。

彼がつぶしていたのは、古今東西の楽曲。溜まりにたまって、彼の右にでる人がいないくらい、なんでも知ってた。

曲づくりでも、2人はよく話し込んだ。

「『恋するカレン』の出だしで、EからDに落としているのはなぜ?」

「高いキーが歌えないので」。

ひょうひょうとした口調で、過去に同録していた番組を流していた。ミュージシャン同士の、うらやましい交流風景。

熱き心に」のことは、触れてなかった。