愉快なオッフェンバックさん

CDショップならまだしも、シーンとした部屋で、カウンター越しに歌うのは相当恥ずかしいよ。

口ずさむことができるのに、題名がわからない場合は、この手しかない。運動会でかかるやつ。

情けなさを引き取って、少しは笑顔で対応すればいいものを、平板な顔で出してきたDVD「天国と地獄」。そうそう、この曲だ。

東京文化会館4階の資料室。2回目の訪問。初回同様、オペレッタを見る。

倦怠した夫婦。お互いに浮気相手がある身、お互いに「死んでくれないか」と思ってる身。

のっけから、期待できそうなストーリー。

妻は地獄に落ち、夫はせいせいする。ところがどっこい、妻の恋人は地獄大王だったので、彼女もハッピー。

2幕は、歌舞伎に迫る演出でさらに盛り上がる。

地獄に、好色な神々の王が登場。彼女を鍵をかけて幽閉する。なんと、ハエの姿になって言い寄るのだった。王様2人相手に三角関係。

ライナーノーツを読む。歌のタイトルがやかましくていい。

・地獄の合唱 ぶどう酒ばんざい
・美しいバッカスの巫女さん
・岩の上にバッカス様が見える
・地獄のギャロップと合唱
・なんて奇抜な舞踏会だろう
・イヤな奴に違いないが

ナポレオン3世時代のオペレッタだった。悪の華咲く、デカダンと金権万能の躁状態

これからも通いたい、僕の娯楽室。

隣を見たら、一生懸命に練習してる人がいた。映像を見、ヘッドフォンで聴き、手元には楽譜を置き、手首でメロディをなぞってる。

ここは、資料室なのだ。