土地の個性はゆるキャラだけ?
シャッター商店街は、地方だけの話ではない。我が用賀も、老舗金物屋が閉店する。
1ヶ月ほど前から、店頭には「どうぞお持ちください」の張り紙と一緒に、ほこりのかぶった商品を並べていた。
金物といっても、建築施工業者が扱うような道具・資材・部品が多い。今日も、ヘルメット姿の2人が来て、パイプを吟味中。「ちょっと、サイズが合わないなぁ」。
日曜大工のシロウトならともかく、業者は「いつか使える資材」を確保しないのだ。
「何年やって来ました?」
「73年」。
老いた店主は2代目。3代目は、店を継がない。店頭在庫1000万円分を、お金を支払って廃棄する。
「イギリスに学ぶ商店街再生計画」ミネルヴァ書房刊。
・日本の中心市街地は、個人が土地を所有する。第三者に貸してまで商売を続けようと思わない。イギリスは借地が多い。
・日本では1998年から土地の規制緩和が始り、郊外型大型店舗ができた。イギリスでは、歯止めをかけている。
・日本の個人商業主は資本力が弱く、品揃えが悪い。イギリスは8割りが全国チェーンの店。品揃え豊富で、高級品も売ってる。
・日本の店舗は、外観・景観に無頓着。イギリスは、街の回遊性を重視した憩いの空間があり、それがショッピングの魅力になる。
街の魅力が、コストを上回らないとリピーターも増えない。
耳が痛いでしょ? 場所、すなわち社会。社会、すなわち生活。生活、すなわち意識・感覚・言語。
用賀商店街には、猿の着ぐるみヨッキーがいる。制作費を、店舗数で割った経費くらいしか出さないのだった。