息抜き嫌いのヴィクトリア
4年前に完成した、丸の内の三菱一号館美術館。
元々は、1894年に建てられたオフィスビル。ジョサイア・コンドルの設計だった。1968年に解体され、約40年後に復元された建築。
この美術館で、30日から「唯美主義」の絵画・家具・工芸展が始まる。ということは、ビアズレーやオスカー・ワイルドの作品が、彼らが活躍した同時代の建築内に収まることになる。
まるごと、19世紀後半。
と思ったら、イギリスの美術史には「唯美主義」の前に、「ラファエル前派」というのがあったのだ。19世紀中期に起きた。
知らなかったよ。
これ、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中。
定型・約束事の絵から、リアリズムの絵へ。
「写真で見る ヴィクトリア朝ロンドンの都市と生活」原書房刊。
世界に植民地を従えたイギリスの19世紀は、ヴィクトリア女王の時代だった。大英帝国のお膝元ロンドンの写真集。
資本と技術が結びつき、うなりをあげて都市開発が行われた。インフラ整備の時代、船舶・鉄道の時代、機械の時代。
富の偏在は、一方で貧民街を生む時代でもあった。
この時代背景から、「ラファエル前派」や「唯美主義」を見ると、何が浮かぶだろう。自然科学や社会科学に寄り添おうとしたのか、振りほどこうとしたのか。
有名な路上人形劇「パンチとジュディ」に、人だかりする古写真が一枚だけあった。
ホッとしたよ。