自然保護と植生破壊の間

去年、東京農工大に「狩り部」があることを知った。学生が鹿をハンティングし、解体し、食べる部活動。

農業に関心がある学生は多い。ひきずられて林業にも。でも、学生猟師には驚いた。

2月初めには、テレビで兵庫県の猟師のドキュメンタリーを見た。女性のディアハンター。

実包も自分で作る。穫った鹿は、肉として販売する。そのためのコストは安くしなければいけない。ならば、弾も銃砲店で売っているものより、自作したほうが安い。

仕事のリアリティがあった。

エゾシカは森の幸」北海道新聞社刊。

シカ算というのがあるらしい。1年目1000頭のシカは、10年目で5158頭になる。毎年の増加率20%。

すると食べ物が不足する。草を食べ尽くすと、樹の皮を剥いで食べ始める。そして農地に進出する。農業被害を止めるため、間引きをしなければいけない。

この本は、北海道のシカを語っているが、全国で保護管理計画が「ゆゆしき事態」になっているのだ。

どうするか? 駆除ではなくて、食肉を穫る目的で狩猟する。

瞬間で脳を破壊し、即死させる。それをクリーンキルという。失敗して手負いのまま逃走したシカは、筋肉中にガスや血液が充満し、食肉としては質が低い。

もともと、野性鳥獣は食材として利用されてきた。フランスではジビエGibier、ドイツではビルトWild。

日本でも、鹿肉料理としてレストランに出回りだした。

シカなら食べられると思う。

でも農作物を荒らすのはシカだけじゃない。イノシシ、サル、クマ、ハクビシンもいる。食べられる?

Nik West