1000番到達記念冊子

世に、難解な本はうなるほどある。

かつて、符牒のように言われた「種まきナンカイ」って、わかる? ミレーの「種をまく人」がマークになってる岩波書店本のこと。

では「白ナンカイ」は? 表紙が白っぽい、みすず書房法政大学出版局の本。

岩波もみすずも、昨今は堕落してナンカイじゃない本も出す。変わらないのが法政大学出版局。「叢書・ウニベルシタス」の発行点数が1000点になり、記念冊子を出した。

ウニベルシタスとは、ラテン語で「大学・普遍性」のこと。これ、冊子からの受け売り。永年の謎が、やっと氷解した。

書架にあっても、手を出したことがない。哲学・思想・倫理・宗教・歴史・文化の本。タイトルだけで、威容に圧倒されるから。

冊子は、1000点の目録と高山宏松岡正剛保坂和志さんの慶賀エッセイが載ってた。学魔たちが、叢書の企画を「国民栄誉賞もの」と学恩を讃える。

約50年間に翻訳された原書はフランス語40%、ドイツ語33%、英語25%、その他スペイン語とイタリア語。

目録を読んでいると、買いたくなる。1ページ目で挫折するかもしれないし、取り憑かれチョワチョワな生活に戻れなくなるかもしれない。

装丁も今までどおりに続けてほしい気持ちと、「かたくなさにも、ほどがあるので変えたら」という気持ちが両方ある。

ナンカイは、誘惑する。

Sarah Vaughan