イギリスは相続税が無いの?
5〜6年前に、リンボウ先生を初めて見た。
日本古典籍の書誌を聞く。和本がいい加減な体裁ではなく、現代の洋装本と同じようにスペックで作られていることがわかった。
「それでは、林望(はやし のぞむ)先生に、御登壇願います」とアナウンスする。今回は、「つい、この間あった昔」がテーマ。
歴史は、○○年に何があったか、で語られることが多い。「でも、そんなエキセントリックな事件は、ただの記号です」。
ジョージアン、ビクトリアン、エドワーディアン。イギリスには、100年や200年経った建築様式がゴロゴロ残っている。実際に使われている。
そこで、「(市町村名)as it was」という写真集が発行される。「どのように変わってないか、ということです」。反対に、日本は「どのように変わったか」の写真集になる。
だから、人が絶えたシャッター通りだけが、昭和のas it wasになる。残置された商屋、民家、交通や通信設備などに、生活のよすがを見ることができる。
もちろん、見ようとしないとダメ。
リンボウ先生は、やおら愛用のカメラを出す。20年以上続けている撮影習慣。
「つい、こないだまでの話です」。サザエさんの家のように、庭や路地に七輪で火をおこし、サンマを焼き、野良猫がくわえて行っちゃった。
今やれば、近所から危ない人に見られる。警察に通報される。
それに、日本にはイギリスに無い事情があるんだよね。
日本家屋をリノベーションしても住みたいのは、外国人か芸能人かアート系若者でしょ、たぶん。日本人のDNAは、火事に弱い木造建築だから、安普請でOK。子孫に残そうと思ってない。仮の宿。
それと、相続税。
売却しないと、税金が払えない。不動産屋が購入し、解体し、区画を割り、ペラペラ新建材の軽薄住宅となる。
講演の帰りに、目黒不動尊見学。宗教法人は、相続税を払わない。永遠に残る。