北アルプス噴火ミステリー
東京都写真美術館ニュース別冊「nya-eyes ニャイズ」は、ほんとにウレシイおまけだった。
ニート却津山(きゃっつやま)春雄と、3匹のネコ関羽(かんう)が、写真美術館をギャグ解剖する漫画。
全39部が、1冊にまとまって4月に講談社から出るというのもウレシイ。
「ニャイズ」によると、写真展の入場者の多寡は、写真家の名前よりも被写体によるらしい。写真家が聞いたらがっかりするだろう。
まぁ、ハッキリいえばヌードなら来場者多し。有名人のポートレイトも来る。
現在開催中の「黒部と槍」は、どうだろう?
山に縁遠い僕が行ったのは、上高地の梓川から穂高連峰を見たから。その向こうに槍があり、さらに奥に黒部がある。
地図では、そうなっている。
わかった時は、すでに遅し。
駅階段すらゼーゼーする身には、険峻な峯に登れない。穂高は無言で問う。「あんた、今まで何やってきたの?」。
黒部といえば、冠(かんむり)松次郎。槍といえば、穂苅(ほかり)三寿雄。らしい。
共に、明治生まれで近代日本山岳史のパイオニアだった。
共に、文章を書き、写真を撮った。モノクロームの足跡をたどれば、真摯な写真にうたれる。
1階ミュージアムショップで「『槍・穂高』名峰誕生のミステリー」ヤマケイ文庫刊を入手。
地質探偵ハラヤマこと原山智さんが、北アルプス誕生の神秘を語る。地質の話だから、何10万年前のことが出てくる。
現在の梓川は槍ヶ岳を源流に、上高地から東へ松本盆地、そして信濃川につながって日本海へ。
かつては、上高地から西へ流れていたのだ。
早送り 1
64万年前、岐阜県側の火山が大噴火、川はせき止められ長さ12km幅2kmの湖になる。
早送り 2
貯水量は、黒部ダムの15倍。湖底には土砂が堆積した。
早送り 3
やがて、貯水は湖南端の鞍部を乗り越えた。以来、現在の梓川になる。
早送り 4
排水されて、湖底が見えてきた。誰が名付けたか? これが上高地。
とは!