布という材料がアートに

テレビ「夢の扉」で、須藤玲子さんを知る。

テキスタイルデザイナーで、作品はメトロポリタン美術館ミュージアムショップで買える。

バイヤーが世界の布を検分して、選ばれた品がショップに並ぶ。生地がこんなにアートなんだとは知らなかったよ。

番組を見ていて「日本じゃ買えないの?」と疑問だった。買えるんだ。

六本木AXISビルにある店、その名も「NUNO」。

須藤さんは、不在だった。教えてもらったのは上野和弘さん。

生地生産は、かつて日本全国でやっていた。久留米とか今治とか桐生は有名。でも、安価な生地に押されて苦戦中。

「詳しくわかりませんが。たぶん、機織りの会社数は最盛期の半分とか、3分の1くらいに減ってるかもしれません」。

そんな中でも、こんな凝ったデザイン生地にトライする会社は、そう多くはないだろう。

糸は製糸会社が作る。テキスタイルデザイナーは、糸を見て創作意欲が沸き上がる。アパレルやインテリアデザイナーは、その材料にインスパイアされる。

やっと、分業がクリアになった。

よく、ファッションブランドが「糸から開発して」みたいなことを言う。「織りまでこだわって」とも。間違いではないが、実態は協業なんだ。

「今までに無いデザインをすると、機織りの会社は10mくらい作るのが限界なんですか?」

「それじゃ、引き受けてくれません。最低でも1000mとか」。

ここで使い勝手に直面するのだろう。自分一人「画期的な布デザインだ」と思っても、3km5kmできて売れなことを考えたら。

「だからといって無難なことをやれば、テキスタイルデザイナーの存在理由がありません」。

む、難しい。

建築に置き換えた。鉄・アルミ・セメント・ガラスなど、重量や機能や加工しやすさをR&Dするだろう。

でも、デザインまではやらないよね? やっても、せいぜい木目調とかレンガ調の貧乏くさいもの。

布は材料なんだけど、しっかりデザインまでする。

Oscar Shumsky