古本業2.0の営業目録
晶文社刊「就職しないで生きるには」が出版されたのは、1980年代だった。
自分のリズムに合わせて生き、働くために本屋を始めたレイモンド・マンゴーの本。就職しか考えてない若者に「自営する手があったか」と、ベストセラーになる。
森岡督行著「荒野の古本屋」を開いたら、シオリが挟まれていた。「晶文社通信 就職しないで生きるには」。
30〜40年前のコンセプトが、現代に復活・更新されている。
「荒野の古本屋」を読んで、業界のセンスとか業態も更新されてると感じた。オルタナティブ書店と自称してる。
神田の老舗・一誠堂書店で修業し、茅場町にある昭和2年築のビルを見て、自前の古写真集専門店を持とうとスイッチが入った。
この感覚、小池一子さんが現代美術のスペースとして開いた「佐賀町エキジビットスペース」を彷彿とさせる。
改装で念頭にあったのは「古道具 坂田」「アンティークス タミゼ」「リムアート」「さる山」などの空間。販売以外に、ギャラリーも併設している。レンタルスタジオにも変身する。
わざわざ海外に買い付けに行かずとも、「Abe Book」で仕入れることを覚えた。
外にも拡張する。
彼は、スタイリストのソニア・パーク著「ソニアのショッピングマニュアル」を愛読していた。彼女の「ARTS & SCIENCE」で写真集の展示即売会をする。
マルタン・マルジェラも視界に入ってる。
岡山SOHO BOOKで、本の選定をする。神田万世橋「マーチエキュート」でもライブラリーの構成をする。
やるねぇ。
シオリ「晶文社通信 就職しないで生きるには」にもどる。森岡さんの言葉。
・読者のみなさまへ。このような本を出版できたからといって、決して安全圏に到達したわけではありません。
崖っぷちにいるからやる気も出る、新しい古本屋ワーク&ライフスタイルだった。