冒険は「わからない」から開始
駒場キャンパスの駒場博物館も、一目で建物が気に入った。かつての図書館をリニューアルし、現在「終わりなきパリ」展開催中。
そこで、説明に立つ小林康夫教授。レクチャー後、自己所有リトグラフを展示している博物館を案内する。
そもそも4月から、駒場キャンパスでは連続講座をやっている。「高校生のための金曜特別講座」。理系・文系チャンポンに、9月までのロング企画。
高校生〜とあるが、だれでも参加できる。
9日にあった講座は「ジャコメッティとパリ」。1回見れば、作品は忘れられない。
なぜ、あの針金のように細い彫刻を作ったのか?
・空間の中に今、私はここにいる。目の前のことが、皆んなには可能性に見える。ジャコメッティには、不可能性に思えた。
「わからないことを、作りたい」と葛藤中に、あの細さになった。
学生時代にジャコメッティに出会った小林青年。来年で退官する教授は、自分の来し方を高校生への行く末に重ねる。
本業の表象文化論にはほとんど触れず、メッセージを送る講座だった。
「自由というのは、状態ではありません。貫かれる行為のことです」。取り巻く世界は、限りない豊かさがあるのだ。「ぜひ、自分に意味のある『この人』を見つけてほしい」。
博物館に並んでいた参考資料の中に、僕も「世界の目覚め」本を見つけた。
ジャン・ジュネ著「アルベルト・ジャコメッティのアトリエ」現代企画室刊。まず、知ってる人からジャコメッティを紹介してもらおう。
そうだ、それがいい。