放置プレーも許されない

「廃」の字を調べたら、こんなにあった。

廃止 廃棄 廃絶 廃滅 廃疾。具体的には廃案 廃業 廃刊 廃帝 廃嫡 廃寺 廃道 廃人 廃物 廃品 廃屋 廃墟など。

ヤブレカブレで「廃」を付ければ、なんでもかんでも言葉になる。後ろに持ってくれば、全廃 撤廃。

古くなって役に立たないこと。しないことにする、捨てる、やめる、やぶれる。

訓読みでは、すたれる。

廃墟。僕は追っかけじゃないが、ファンではある。

「総天然色 廃墟本remix」ちくま文庫刊を見ていたら、法律に突き当たった。文を書いたのは中田薫さん。

昭和61年施行の「民活法」。

正式名称を息をせずに言えた人には、座布団一枚を進呈。「民間事業者の能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法」。

はい、どうぞ。

時が移った現在、全国およそ180自治体が「空き家条例」「景観支障防止条例」を施行している。

法は世に連れ。この間にあったのは、バブル経済と失われた20年と潔癖性。

ゴミの不法投棄、不審火、騒音、異臭、治安上の問題から、行政は民有地でも強権的に介入する。すると、地権者や所有者は自主的に解体撤去するので、噂を頼って行ってみたら更地ばかりなり。

酔狂者の廃墟マニアは、嘆く。廃墟がすたれる。

写真は、中筋純さん。

ホテル旅館モーテル温泉・遊園地レジャーランド・ボーリング場は、夢の跡を集めて疾し廃物界。

廃炭坑・廃病院・廃小学校に比べ、肩を落とした「あとの祭り」感すら無い。

想像の喚起と停止を、これほど易々とできる写真はめずらしいぞ。

Norah Jones - Don't Know Why