糊でくっつけた癒着都市
木密って言うんだ。
古い木造家屋の密集地域のこと。消防車が入れず、路地が入り組んで地元民でも迷うほどの密度。
「もくみつ」って語呂、いかにもみっちりゴミゴミしている。
カメラ女子が、「ほっこり」を目指して徘徊する場所でもある。野良猫や牛乳箱(かつては配達してた)は撮るが、発泡スチロールの鉢植えやアナーキーな植物はパス。
東京23区では、1万6千ヘクタールある。とりわけ危険な7千ヘクタールを「不燃化特区」に指定。
西新宿では、60階マンション建設が始まった。計画から22年経って実現した。
「東京断想」鹿島出版会刊。
日本の民法では、何人に対しても妨害を受けることなく所有権を主張できる。とフランス人マニュエル・タルディッツさんから教わる。
1平方センチを動かすと、血の雨が降る。だから地権者説得に22年かかった。
建築家タルディッツさんの東京エッセイ。
当然、仕事上から東京をみている。まぁ、社会も考えざるを得ないだろう。滞在30年だから、地誌歴史も勉強したろう。
それを、世界の街と比べて語っているので、どれだけ都市計画の無い迷宮ぶりかわかる。計画はあったが、挫折し続けた今日を語る。
六本木ヒルズを称して、「脱計画化・無計画化」。何回行っても、何がどこにあるかわからない混乱をスパッと解釈する。
コンクリと鉄筋で、木密をタテに伸ばした構造なんだ。結局、日本人に合理性はなじまないのか。
タルディッツさんは、学校で先生をやってる。
並行して4人で「みかんぐみ」を共同主宰する。「ゆるいチームを作ろう」と始まった。代表の曽我部昌史さんは「ぽんかん」。他に「いよかん」「あまなつ」がいて、彼は「きんかん」。
律儀に靴を脱いで、役割を真剣に果たす「ままごと」のようなネーミング。遊び心は大事だ。