試作だけは日本でできる

このテオ・ヤンセンの作品は、前にもブログにアップした。

動力は、風。エネルギーを受け止めるのは、帆や板。造形物の下半身は、馬の四肢のような構造。浜辺を移動するのだが、動きが自然なので歩行しているように見える。

骨格彫刻。自然に擬した人工物の、不思議さ。うっとりしたなぁ。

テオは、構造・サイズ・パーツのすべてをネットに公開している。誰でもコピーOK。

学研「大人の科学マガジン」が、その組み立て模型を売り出した。すると、「どういう人が作ったのか?」と興味を持ったのが、映画監督の忠地裕子さん。

50分の映画「おとなのかがく」を見る。

1作目が「ミニ・ビースト」。映画は、2作目「ミニ・リノセロス」の試作から完成までを追う。

試作するのは永岡昌光さん。「大手の玩具メーカーに、たくさん職人がいました」。技能は、とっくの昔に社内に無い。

実物をスケールダウンしても、模型は作れないのだ。強調し、省略し、室内で楽しめるように構造を変える。

やっとのことで、試作品が完成。部品に解体して、プラモデル量産品の段階に入る。

もはや、これも日本では作ってない。台湾で図面化され、中国・深圳で製造する。

成形されたパーツに不具合が出る。彼らは、日本でなら1日半かかる金型調整を4時間でやる。「中国には金型の学校があるんです」。

100均商品の製造現場が、頭に浮かぶ。

見終わって、ロビーに「ミニ・ビースト」と「ミニ・リノセロス」の完成品があった。うちわも用意されている。床におろしてパタパタ、30分は遊んだ。

東京湾で、本物が動くところが見たい。

Chloe Agnew - To Where You Are