隔たりに関心を持った

バッグから慌ててカメラを出しシャッターを切ったので、ブレた。

建築職人愛。

コマーシャルの仕事をやっていて、コマーシャル写真に夢中だった頃、ルイス・ハインの写真を見つけた。男たちの現場、なんてカッコいいんだろう。

写真としては、どちらも「伝わってなんぼ」に心血を注ぐ。

コマーシャル写真は、私生活エネルギー源。ハイン写真は、そうは言ってもソーシャル大事。

暮らしには、2足のわらじが必要なんだ。

建築現場の職人愛。して、「彼らとは何者なのか?」最新の映画と文学を見つける。

映画のほうは、「空中ランチ」。鉄骨に並ぶ職人たちのハイン写真から、ドキュメンタリーは始まる。

アイルランド移民が、1920年代にニューヨーク摩天楼を工事する。棄郷した彼らは、シリアスである。でも、ささやかなユーモアがなければ、毎日は暮らせない。

ハインは、そこまで押さえる。

文学のほうは、柳美里さんの「JR上野駅公園口」河出書房新社刊。

「労働力として使い捨てされ、帰る場所を失った人のために書いた」。

移民と出稼ぎは、国境の有無以外にどこが違うのか?

12歳で東京に出て、郷里で結婚するもほとんど東京現場ぐらし。そして妻は亡くなり、上野の山でブルーシートのホームレス物語。

彼女は、執筆取材中に「家のあるあんたには、わからないよ」と言われた。

わからない隔たりは、僕にも食い込む。

Orla Fallon - Down By Sally Gardens