想像していた奴らと違う
麹町にあるセルバンテス文化センターは、イベントだけでなく各種展覧会もやっている。
エレベーターが混んでる時は、階段を使う。
踊り場にはスペイン語圏の文学者の写真がある。大判パネル。皆んな、いかにも巨匠の面構え。日本と違う巨大な量感の空気の中で生きている顔。
図書館もあるから、覗く。ほとんどスペイン語の本・DVD・CD。もちろん、手が出ない。
でも、この下地がなかったらロベルト・ボラーニョも読んでなかっただろう。
最初は「売女の人殺し」。続いて「鼻持ちならないガウチョ」共に白水社刊。ボラーニョ・コレクションは、続刊であと6冊出る。
老弁護士ペレーダは妻に先立たれ、子どもも独立して家を出て行った。「ブエノスアイレスは腐ってる」と、地図からも記憶からも消されたような南米の草原地帯パンパへ向かう。
ガウチョは、パンパを縄張りにするカウボーイ。それに放浪者とか、土臭い屋外仕事が得意とか、無鉄砲とか、いい奴のイメージもある。
ところが、現実に出会ったガウチョといったら。
果たして、「鼻持ちならない」のは自分なのか、彼らなのか。
文中に、ボルヘスが出てくる。ボラーニョは文豪が好きだったんだろう。「あぁ、この前訃報があったな」と思ったら、これが勘違いのコンコンチキ。それはガルシア・マルケスだった。
文化センターでやる写真展で、度々ラテンアメリカの風景を見てきた。ボルヘスもガルシア・マルケスも、やっと読む準備ができた頃合いだ。