発掘した地層は時代別
芸能・バイオレンス・お水、各業界御用達といえば麻布警察署。
数年後に、新しい麻布警察署が俳優座の裏手にできる。前は三河台中学校の敷地だった。
更に前は、三河台尋常小学校。それに、陸軍歩兵第一旅団司令部と近衛師団長官舎があった。
より更に前は、旗本の屋敷だった。岡山の花房家の敷地。
TVニュースステーションの天気予報の時間になると、萩藩毛利家の庭園が出てくるでしょ。あれと同じ風情を想像しながら、発掘調査を見学した。
「地形は、武蔵野台地東端の淀橋台にあります」と、東京都埋蔵文化センターの職員が説明する。
旧石器時代の石器から近世までの遺構・遺物が出土しているという。だから、見学者用に並べられた陶器に期待した。
「落書きに歴史をよむ」吉川弘文館刊。
日本人は、万葉集の時代から落書き好きだった。古代研究も文献からでなく、建物の柱や梁、木簡、石に刻まれた落書きを研究してる学者がいたのだ。
三上喜孝さんも、その一人。
落書きの定番といえば相合い傘。ハレタホレタ、つれない、2人は怪しい。
万葉集、伊勢物語、宇津保物語、古今和歌集に出てくる歌を、土器の内側に墨書する。
裾が濡れない流れのような浅いご縁、とか。昔のことが忘れられましょうか、いいえ忘れられない、とか。
めでたい吉祥的な歌もある。まじない呪術的なものもある。いろは仮名の試し書きのようなものもある。
残念ながら、今回は落書き土器は無かった。出土は稀なケースなのかもしれない。
「ここで働いてる人は、考古学の専門家なんですか?」
「いえ。指導員以外はバイトです。たまに建設会社がハローワークで募集してますよ」。
案内板の表示を見る。8時半から18時まで。朝がムリだ。