忘れ物、冷静になろう
地下鉄副都心線ができた時、これで神奈川から埼玉までがつながったと話題になった。
横浜と川越、お互いの住民が「乗り換えなしで遊びに行ける」とテレビで笑顔中継してた。
網棚に忘れ物をして、もう一つ神奈川東京埼玉一直線があることがわかった。
あわてて駅事務室に駆け込む。すると、「どこ行きでしたか?」と訊かれる。
普段、電車に乗る時行き先なんか気にしてない。
だろ?
適当に乗って、適当に降りる。 気をつけるのは、どこで乗り換えるかだけ。だから、答えられない。
田園都市線 → 渋谷で半蔵門線 → 押上で東武伊勢崎線。3つの鉄道会社がつながっているだ。
ということは、3つの遺失物取り扱い事務所に問い合わせしないといけないということだ。
これは、不安を増幅するね。
「久喜駅で見つかりました」と連絡があった時は、ホッとした。同時に「久喜って、どこ?」と、今度は無精になる。「そこまでピックアップに行くのか?」。
どうせ電車は折り返して東京に戻るんだろ。車掌室にでも乗せて戻してほしい。
頼んだら、鉄道便というトラック輸送で押上駅までなら戻せると言う。車掌室は荷物室ではないのだ。
行ってきました、押上駅。
無事に忘れ物は戻った。安堵すると、「久喜駅ってどこ?」と路線図を見入る。
だいたい北千住・草加・越谷・春日部・東武動物公園。そして29こ目が久喜駅。中継駅の押上で回収できて助かった。
反対に、東武伊勢崎線住民が忘れ物をしたことを想像する。
田園都市線で終点の中央林間まで運ばれてしまった。あぁ、俺の荷物がぁ〜。
普段乗り慣れない電車は、地の果てに向かっているように感じるもの。