たまに、写真でつかめること

年1回「このミステリーがすごい」というタイトルで、大賞が選ばれる。略して「このミス」。

写真評論をやる大竹昭子さんが編集したのが「この写真がすごい」朝日出版社刊。

最新刊の「2」もあるが、見たのは2008年度版の初号。

だいたい、男の写真評論は分析して体系づける文章。あらぬ思想・概念に頼るから、読んでてワケわからんことが多い。

「そんなこと書いてて、楽しいの?」と、つっこみたくなる。

「この写」は、100枚の写真を「ただ凄い」の感覚で選びコメントする。自分を丸裸にしないと書けないから、他人の考えを我田引水するより勇気がいる。

撮影者の有名無名・年齢年代性別は不問にし、写真集・写真展・広告・雑誌の投稿ページからも選択する、という姿勢も男の評論家には無い。

これは、本人が写真評論だけでなく、小説・ルポ・エッセイも書くし、朗読会も開くといった自在さと無縁ではないだろう。

彼女が感じるすごさとは、人間の潜在意識を顕在化させる写真だ。

あるいは、「これって、なにかヘンだと思いませんか?」と問いかける写真。

ゆっくり歩けば見えてくるシーン。写真家が感じたことを、「そうですよねぇ」と共感するコメントだから、写したほうも本望だろう。

おばあさんに出会ったのは、イベントをやってた公園だった。

「この人の目つきがすごい」。どんな女優にも、できない。

Moondog - 'Do Your Thing'