「水やり三年」のBONSAI
深沢七郎さん。今年、誕生100年ということを知る。
山梨県石和町、現在の笛吹市の産まれ。見てないがNHKドラマ「花子とアン」の甲州弁で育った人。
「盆栽老人とその周辺」を読んだ時、盆栽をめぐる人々の「いぎたなさ」に射抜かれた。でも、「かさぶた」ができるほど年月は経てる。
「盆栽の誕生」大修館書店刊。
見ると、また「かさぶた」をかきむしりたくなって手が出る。
依田徹さんは茶の湯を研究してる人だから、美術として、茶の湯の背景にある盆栽を語る。
戦国・室町・江戸・明治の変遷史。そして、現代。
盆栽と聞いてまず浮かぶのは、松がうねってる姿でしょ?
あれを、「蛸作り」というんだ。江戸時代の代表作。「曲物(まげもの)作り」ともいう。現代では、模様木(もようぎ)と呼ぶ。
若木の時から縄を枝に巻き付け、肥料をやって太らせる。4方向から見てバランスがとれているのを「よい木」。アンバランスなのを「おもしろき木」。
武士が担った園芸趣味が、次第に町民・商人に伝わっていく。美術工芸品がポピュラーになる。
都立園芸高校で徳川家光遺愛の松を見た時も、「かさぶた」を感じた。
幹と小枝がS字に屈曲し、枝先には扇状の枝葉。歌舞伎・能・邦楽の舞台にあるのと同じものが、実際にあるんだよ。
ぐりぐりした幹のフリークさに、目が吸い寄せられる。