まずシノギの手口を知ろう
「預金小切手」というものがある。
小切手を現金化する時に窓口で通帳を見せる必要があり、かつ受け取りに2営業日かかる。
つまり、めんどくさい。
でも、銀行ができる「オレオレ詐欺」防止策だという。
高齢者が高額を引き出す時、神奈川県の銀行の対応はこうなった。
1 詐欺被害に該当しないか、チェックシートで回答を求める
2 現金でなく振込にしませんか、と勧める
3 預金小切手はいかが、と食い下がる
4 「あくまでも現金」と答えたら、警察に通報する
「オレオレ」の半数は、現金手渡し型らしい。
「預金小切手」なら詐欺に気付けば取引を止められるし、なにより換金すると犯人の足跡が残る。
息子を装う詐欺から、「うまい話」詐欺に進化するのは時間の問題で、70〜80代にはうれしいネタで釣る。
・役所職員を装ったA、「医療保険料の還付があります。期限が過ぎているので、銀行での扱いになります」
・銀行員を装ったB、「ATMにお越しください」
もらえるはずの金が、どうして支払って詐欺にあうの? そのカラクリは公開されてない。真似する奴がいるからか?
「詐欺の帝王」文春新書刊。
溝口敦さんは、ノワール・ノンフィクションの第一人者。暴力団を書く場合は、堂々と実名を登場させる。本書の主人公は「半グレ」から「スッカタギ」になったので仮名で登場。
毎日100万、1000万円単位のゲンナマを手にしてた。領収書無しの無税。
詐欺の原則は「かぶせ」と言う。1回ひっかかると、何回でもだまされる。「過去の損失を取り戻しましょうよ」が、悪魔のささやきなのだ。
闇がリアリティになる本だった。