保全型のまちづくり研究

「それでも『木密』に住み続けたい」彰国社刊。

木密は、「もくみつ」と読む。木造密集市街地のこと。

不便はあるけど、ゆるい近所付き合いがあるから抜け出せない。ジグザグ路地に夕ご飯の匂い、なじんだ「ごちゃごちゃ感」。

木密での日常礼賛の本かと思ったら、違った。

小さく表紙にあったサブタイトル「路地裏で安全に暮らすための防災まちづくりの極意」を見逃してた。

ことわざに、恐いものといえば「地震・雷・火事・おやじ」と決まってた。不燃材料のマンションやビルが増えたのか、死語になりつつある。おやじも、雷おやじは絶滅してる。

木密には、まだ戒めが残る。とはいえ、問題点が多すぎる。

燃えやすい、延焼しやすい、消防車が入りにくい、倒壊する、避難路が確保しにくい。

他にも、住民の高齢化や孤独死、耐震化も建替えも進まない、木造3階建てが連なる「長屋」で木密が再生産される。

だから、木密のために行動を起そう、と各種手法を列記してある。工夫がきめ細かいのは、住み続けたいから。

著者は4人。

建築史を学び、歴史的建造物や集落・町並み保存の仕事をしている後藤治さん、三浦卓也さん。そこに都市計画の村上正浩さんと、都市防災の関澤愛さんが加わった4人の共同研究。

そう言われてみると、

京都・金沢だけでなく観光で訪れる地方は、木密が多いのだ。

CORNELL DUPREE「THE BIRD」