清涼だった、鼓の響き

弘前ねぷた祭りで人身事故発生し、急遽中止になった。

ねぷた内部には、昇降機が仕込まれていたんだ。巨大ねぷた装置が練り歩く際、上下左右させる機械。人力で動かしていると思ってた。

たぶん、弘前の10分の1サイズほどのねぷたを世田谷で見たことがある。

隈取り鮮やかな武者絵と、碇(いかり)の造りもの。「知盛」という名札もあった。これが平知盛との初遭遇。平清盛の四男坊。

壇ノ浦の戦いで追い詰められた彼は、海へ身を投げた。時に、碇を担いだとも、鎧を二枚着たともいわれる。生きたまま浮かび上がり、晒し物になって辱めを受けるのを避けるため。

さすが清盛が見込んだだけの、武者魂。碇知盛。それが、ねぷたの絵柄になった。

歌舞伎や能では「船弁慶」として演じられる。亡霊となった知盛が、仇敵弁慶の船を沈めようと襲いかかる。

・その時義経、少しも騒がず。〜〜〜数珠さらさらと押し揉んで。

刀ではかなわないと観念した弁慶。数珠の祈りが功を奏し、知盛の霊は引き潮に引かれて遠ざかっていくのだった。

・揺られ流れ。また引く汐に。揺られ流れて。跡白波とぞ。なりにける。

能では「・」部を、詞章という。とてもじゃないが、謡はテキストが手元にないと、何言ってんだかわからない。

縁あって、邦楽稽古の発表会「浴衣浚(ゆかたざらい)」に出席。「船弁慶」「竹生島」「松の翁」等を赤坂区民センターで聴く。

大鼓・小鼓・笛に合わせた謡。舞は無し。

夏は、薪能の季節でしょ? 寺社だけでなく、洋上に舞台を浮かべてやればいいのに。

能で疲れたら、桂枝雀師匠の落語「船弁慶」で頭をモミほぐそう。