語れば長い長老たち

空ビンの中に納まった船の模型、ボトルシップ。

たぶん、全国の港町にファンが多いだろう。

仕事場が船という人を中心に、船舶業界は関連を含めてどれほどの広がりがあるか、想像できない。

「横浜ボトルシップ愛好会」で、日頃の活動を披露する作品展に寄った。

「5分でできますよ」と呼び止められる。体験できるカウンターがあった。ボトルも、中に入れるシップも用意されていた。可愛いヨット。

船は、ビンの口の直径以下に部品化されてる。帆などはたたんだ状態で挿入する。それでも、もちろん5分じゃ完成しない。できるのは、愛好家。

構造の説明を聞く。ビンの外であらかじめ作り、中で再び展開する。ということは、蝶番で可動するようになってる。極細針金の蝶番。目の焦点が合わない。

そもそもボトルシップと聞くと、サンタマリアとかカティサークといった西洋帆船のイメージがある。

長い航海。水夫は飲みあかしたウィスキーの空き瓶に、木っ端を削って船の模型を閉じ込める。退屈しのぎが、たちまちとりこになる。

難しいほど、夢中になる。

作品の大半は、西洋もの。立派すぎて、可愛くない。足が止まったのは、五大力船という和船。

吃水線が浅い。湾岸や河川の荷役で活躍した廻船。船頭フィギアがいる。載せてる貨物は、年貢米か肥料か醤油か?

5分講習で教わった新井さんの作品。誰もが感じるでしょ、「どのようにビンに入れるか?」。部品別に分解したパネルで、説明を受ける。

これでも新井さんは、初心者のクチ。愛好会には長老がゴロゴロいるのだ。たいがいは「陸にあがった」船の人。

スズメ百まで踊り忘れず。セーラー百まで船を忘れず。

Le Concert Brisé : Making-of CD Bertali