馬遣いが主役の舞台
シアターオーブでやっていた「ウォー・ホース 戦火の馬」が、8月24日で終了した。
イギリスの児童文学の舞台化。本は読んでいたから、ストーリーより馬への興味で見た。
アルバート少年の愛馬ジョーイが、軍馬に徴用される。戦場で、ジョーイは同じ軍馬のトップソーンと親友になる。銃弾に斃れるトップソーン。
舞台だから、本物の馬はつかえない。
あやつり馬のアイデアが浮かんだ時に、「こりゃ、いける」となったんだろう。前肢と後肢の付け根に1人ずつ、そして首にもう1人。
計3人が、本物の馬と見まがうばかりに挙動を再現する。
子馬時代のジョーイは、パペットであることを強調する。成後は、どう見ても馬だ。喜び、ためらい、決意、怒り、哀しみの動き。
3人の馬遣いは、舞台から消える。文楽の人形遣いと同じ。乗り出すよ、これは。
肢の構え方、首と頭の振り向き、音を捉える耳の気付き、背中のハエを払う尾っぽ。
骨組みの造形は、浮き上がる血管を連想させる。機械化された第一次大戦の戦場に、生命を秘めたエネルギーという対比でしょう。
感銘を受けたスピルバーグ監督は、映画化したらしい。
実写になれば、ヒューマンドラマ。舞台には、舞台でしかできない価値があるね。