スミスは誤解されている

横浜・真金(まがね)町1丁目〜2丁目界隈散歩。

まるで、わからない。町内会の掲示板があったので、住所がわかった。

学生時代のヒッチハイク再び。僕を拾ってくれたのは、だいたい長距離トラックだった。「飯でも食うかい?」と寄るのは同業者が集まる食堂。

もっとも平成では、現場労働者も「姉ちゃん、カツ丼な」なんて言い方はしない。「すいません、カツ丼を一つ」とお願いする。

道徳感情論」日経BP社刊。「日経BPラシックス」シリーズの1冊。新訳ブームは、経済書にもあった。

装幀は、祖父江慎さん。白を基調にしているので、重々しい感じから、清冽な印象を受ける。

国富論」のアダム・スミスの本。「国富論」を出す前に「道徳〜」を出していた。

資本主義を理論付けたような人が、なぜ道徳? と思うでしょ。資本主義 = 強欲だから。

彼は、たしかに経済学者であったが、政治・哲学・倫理・論理学の先生でもあった。グラスゴー大学で教えていた講義録が「道徳〜」。

それを発展させたのが「国富論」。そもそも、彼は資本主義を語っているのではない。

市場を語っているのだ。自己の利己心に触れてはいるが、合わせて理性・公共心・寛容・正義・慈悲も語っていた。「資本主義の父」ではなく、「経済学の父」だった。

誤解してたよなぁ。

貧困の連鎖が親から子へ続く話も、現代の特徴ではなく、1740年頃に、すでに彼が観察しているのだった。

740ページもある厚い本。読みながら、ディケンズ小説のノンフィクション版なのではと感じた。

駕篭かき、荷かつぎ、石炭荷揚げといった労働者が、階級に関連づけられて、社会から無視されることを強調する。

ときに、怒りを爆発させる。

これこれ真金町、大好き。住みたい。

Takashi Masuzaki - Shadows