映画人でもあった池澤さん
愛されキャラ「ムーミン」の産みの親、トーベ・ヤンソンが生誕100年を迎えた。
前に、彼女の絵入り評伝を読んだことがある。
「ムーミン」と名付けられるのは、児童文学でシリーズ発表されてからの話。初登場は、画面の隅に小さく南京豆のような虫のような、正体不明な粒のような姿だった。
彼女はフィンランドの生まれ。
も一人、アルゼンチン生まれの作家も生誕100年を迎えた。フリオ・コルタサル。セルバンテス文化センターでシンポジウムが行われた。
そもそも、そういう小説家がいることをセンターで案内されて知った。
20世紀ラテンアメリカ文学を代表する一人だという。
会場入り口では、著作が並ぶ。水声社と現代企画室という2つの出版社が出張販売をやっていた。
邦訳は、寺尾隆吉さんのが多い。彼はマドリッド在住だが、この1週間帰国して、本屋でのキャンペーンを勢力的に回る。
彼が個人編集した、世界文学全集の短篇コレクション1からの一篇「南部高速道路」河出書房新社刊を読んだから。
現実から離陸するような展開。「時間・空間を脱臼するような」という説明が、いかにもコルタサルを言い当てている。
他の短篇を5つばかり、紹介する。ストーリーを知っても、「どうやって書くと、その不思議が現出するのか」読みたくなる。
彼は、映画の脚本も書く人だった。ラストで、日本男とドイツ女が別かれるシーンのセリフ。
男「さよなら」
女「英語のgood byeは『神様と一緒に』という意味だけど、日本語の『さよなら』は?」
男「『そうであるなら』って意味かなぁ?」。