まず、研修親に頼り切り

かながわ農業アカデミーは、キャベツ畑に囲まれている。

種まき実習の隣地で、白煙が上がる。トラクターにアタッチメントを替えるだけで、殺虫剤が散布できる。

「畑を何枚も持っている農家なので、機械化できるのです」と講師が説明する。

神奈川県は農業地としては、地価が高そうだ。それに見合った値段でキャベツは売れるのだろうか? 

「もちろん、遠隔地からもキャベツは首都圏に運ばれます」。

ところが、長時間輸送するので、痛む。それに鮮度でも近距離のほうが有利なのだ。

加えて、コンビニやスーパー向けの食品加工の工場が多い。ということは、販売先が多種ある。市場向けの卸だけじゃないということ。

なるほど。

座学で習ったのは、新規就農。農業だからといって、起業であることに変わりはない。

ノウハウ 資金 農地 機械 施設・住居。

ホウレンソウを1時間で何束作れるか? 100束作れなければハナシにならない。これ、ノウハウ。

県の東西南北の地域性も違う。

横浜・川崎は、そもそも農地が少ない。三浦半島は、専業農家がバッチリ固めてる。

県央は都市と混在して、まとまった広さが無い。小田原方面は、フラットな土地が少ない。丹沢地域など山間部は、鳥獣害が多い。

「シカでもサルでも、丸焼きにして食べちゃう」とは、同じ生徒仲間の発言。「丸焼き」ってとこが、可笑しい。

農アカが斡旋する農地は、耕作放棄地が多い。

およそ、明治時代の南米移民の苦労話が、現代でもあるのだ。石がゴロゴロ、あちこちに倒木、傾斜地が多いから機械が入らない、土は3年5年かけて手入れする。

「研修親」からの距離も重要だ。

わからないことを訊いたり、機械をちょっと借りるセンパイのこと。「研修親」がいなけりゃ、手も足も出ない。

いちいち、ごもっともでござんす。

Jorge Ben jor Taj Mahal