風景は真実であり嘘である

東京ステーションギャラリーでは、11月9日まで「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン」展をやっている。

JRが国鉄時代の1970年代に広告展開した「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンを、2014年にディスカバーしようという企画展。

40年前の「日本発見」を、「再発見」しようということ。

イメージが、日本で初めて産業になり始めた時代。視覚、映像、画像、心象、形象、虚像などを含んだイメージという言葉が商品になる。イメージを作る仕事が現れる。

この、なんとも軽佻浮薄なノリに、噛み付いたのが写真家の中平卓馬さん。

「疎外され、搾取され、中央の植民地化した地方」を直視せずに、笑ってお土産買ってる場合か、と。

広告キャンペーンのポスターで使われたボケ・ブレ写真は、自己発見へ誘うビジュアルだ。一方、中平さんのボケ・ブレ写真は、時代の虚妄を告発するもの。

メディアの中の風景を巡って、当時論争があったらしい。

東京芸大で、シンポジウムに参加した。

東京ステーションギャラリー学芸員、メディア社会学の吉見俊也さん、元日本赤軍足立正生さん、テレビプロデューサーの今野勉さん。

ゴージャスなメンバーだから、延々5時間もあっという間に終わった。

夕張炭坑が故郷の今野さん。リアリズム写真の巨匠、土門拳の写真集「筑豊のこどもたち」に触れる。

「彼の写真は、いかにも悲惨な子どもを訴えてます。ですが、炭坑育ちの僕には『ほんとかな?』と思える」。

子どもの目には、周囲すべてが遊び場。貧乏という言葉も知らず、毎日が楽しかったのだ。たとえ、ウサギを追う里山じゃなくても。

リアリズムも、イメージか。

★目玉ブラボーズ あちらべさん

♪寄り道DJがゆく Jerry Douglas Band