仕事をちょっと見する旅
イルメラ・シャウツの挿絵に惹かれて「西洋『珍』職業づくし」悠書館刊を読んだ。
鯨骨加工職人 蟻のさなぎ採り コーヒー嗅(か)ぎ兵 琥珀(こはく)細工職人 シルエット肖像画家と、消えていった職業。
乳母 にせ医者 死刑執行人 博労(ばくろう 馬喰とも書く) 石版印刷工 ビー玉職人。これは、名前を変え、企業化され、アートに純化して、まだある。
おおむね、20世紀前半で滅んだ生業だ。本は、ドイツを舞台にしている。
中には、バロック期にヨーロッパ王宮に仕えた異邦人も登場する。従僕トルコ人 宮廷ムーア人 島勤めインディアン。
中世の絵本かと思うばかりのイラストは、日本人では描けないものだ。
背景になる資料が入手不能なのではない。顔つき、服装、小道具がドイツなんだ。
他人の職業って、見ていて飽きない。実際インタビューをやると、体験してない仕事ばかりなのだから。
「隣の芝生は緑に見える」症候群にピッタリの旅行社がニュースになって驚いた。仕事を見学する旅を手掛ける会社の「仕事旅行社」。
就職情報誌では、あらゆる職業が紹介されてる。じゃぁ、「実際はどうなの?」と半日〜1日かけて、1〜2万円かけて、旅の気分で見聞する。体験する。
「そんなんで、仕事がわかるわきゃない」と怒っちゃダメだよお父さん。手づるが無い人には、結婚仲介業と同じ。
就職にバイパスを通した快挙でしょう。
ちなみに、祭りの主役・香具師への仕事旅はあるのか?
★旅する目玉 Akira Minagawaさんのテキスタイル