本の重さで冷静もどる

東京国際フォーラムの前を通る。

INTERNATIONAL BAR ASSOCIATIONの看板があった。なるほど、酒場にも国際的な協会があるのかぁ。

親父やおかみも、東京で開催された国際会議にはスーツで参加するんだ。

でも、雰囲気がらしくないぞ。ヘンだ。

「世界のバー業者が集まって何を話すんですか?」

「酒のバーじゃありません。法曹界のバーです。弁護士団のバーです」とピシャリ。

BARに、そんな意味があるなんて聞いてないぞ。どうひっくり返れば、弁護士団なんて意味になるんだ?

ネコに追いつめられたネズミの気分になってきた。逃げ場がなく固まる。

無視されなければ、ずっとそのままの姿勢だったろう。

我に帰って歩き出す。英語 → 「そうだ、丸の内オアゾ丸善があったな」。

棚から辞書を引いたら、ほんとに意味が出てた。もどす。でもショックが続く。→ フロアー散歩。

「詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想」幻戯書房刊。種村季弘さんの単行本未収録論集だから、おさえにゃなるまい。700ページ。

「明治の表象空間」新潮社刊。松浦寿輝さん10年の大作740ページ。これも。

「生まれ変わる歴史的建造物」日刊工業新聞社刊。三菱地所のエンジニア、野村和宣さんが書いたもの。丸の内でリユーアルしたビルは、この人が手掛けていた。

プラハ、1942年」東京創元社刊。2014年本屋大賞翻訳小説部門第1位。HHhHのフォントが鮮やかな装丁。

洋書の棚には、「プラハ、1942年」の英語版があった。ナチ高官の写真にHHhHのフォントが横切る装丁。日本語版は、これを真似たのか。

まとめて手にすると、ずいぶん重い。ちゃんと読めば、今年いっぱいはかかる日数の重さだ。

積ん読の予感はあるが、やっとBARの呪縛から自由になれた気分。

★旅する目玉 副田高行さんのアートディレクション  

♪旅する鼓膜 RIP SLYME プロヴ 猿ラップ