はな子さんを「発見」「再発見」

・国内の動物園で飼育されているゾウのなかでは、最高齢です。

ゾウは巨体だから、隠れてペットにはできないだろう。ということは動物園でと、ことわるまでもなく日本で最高齢ということだ。

アジアゾウのはな子さん。

推定1947年生まれ。49年にタイから平和のシンボルとして来日した。当初は上野動物園、54年からは井の頭自然文化園で暮らしてる。

67歳で、僕の同級生だ。

・まともな歯が1本しかないので、飼育係が毎日、はな子スペシャル食をつくって与えています。

僕は1本以上あるが入れ歯をしてるから、できればそちら側に行って記念写真を撮りたくなる。

太陽を浴びて、眠るような目。今生は夢のごとし。そんな目に未だに到着しない自分。

俵屋宗達平凡社新書刊。

京都・養源院の杉戸に描かれているのが、宗達の白象図。

白い巨体を前かがみにし、目は前をにらんで力がある。牙を出し、口は威嚇のポーズ。それなのに可愛いのは、推定10歳前後の象だからか。

宗達は、琳派(りんぱ)の祖といわれている。

琳とは、尾形光琳の琳。祖を受け継いだ尾形光琳の琳を冠にする。時系列でいえば、宗達派に尾形光琳がいるのだが。

芸術は、本人が生きている時代に脚光を浴びることが多くない。時代を経て「発見」される。

まず尾形光琳が「発見」され、ついで光琳が一生懸命に模写した俵屋宗達が「発見」されたので、ネーミングが逆転したのだった。

その絵が有名な、風神雷神図屏風

著者・古田亮さんは東京国立近代美術館で「琳派 RIMPA」展をキュレーションした時、現代美術まで視野を拡げた。

クリムトマチス、ウォーホル、岡村桂三郎、福本繁樹。西洋美術まで含めると、これまた「琳派」が「再発見」できるのでは、という試みだ。

ゾウのはな子さんで「再発見」できることは、生き方だった。

★旅する目玉 今村由男さんの版画 

♪旅する鼓膜 Jacob Koller Plays 幻想即興曲