文学にもフリマがあった
久しぶりに「音だっち」から連絡があった。
「文学フリマに出店してます」。
「音だっち」の本業はコピーライターだ。
プロ野球のカープのファンでもある。毎晩、午前様ハードワークの合間をぬって、カープ女子に捧げる冊子を作ったのだという。
近頃じゃ、冊子のことをジンという。マガジンのジンか。タイトルは、CoiCoi。300円の売り物。
忘れもしない、僕も若い頃自費出版をした。原稿作るよりお札を作れと印刷屋の親父に言われた記憶。
何10万円かの出費をしてわかったことは、書くべきテーマの無さ。世の中に不条理を感じず、悩むことがナッシング。
今回の「文学フリマ」出店者に、かりそめにも文学青年志向はいるだろう。でも、たいがいは明るくて、屈託がない。
会場を歩いていると、ぷ〜んと汗の匂いがした。
フリマといえば、本家はコミック。これはビッグサイトで開催するほど大規模だ。こちらは一応文章のフリマなので、それほど人口が無い。コスプレも無い東京流通センターの第二会場だった。
700ブース以上あるという。ブースといっても、長机半分のスペースが1ブース。
ずらっと並べば、一つ一つ手に取って読むわけには、いかない。流すだけ。
「音だっち」のブースにたどり着いて、しばし休憩。売れゆきを訊くと「3冊」。
スマホ世代が大半のイベント、あえて紙の雑誌や本を出すのは、マテリアルへの信仰未だ健在なりということか。
立ち読みコーナーの風景を眺める。
読書してる人を見るのが好き。性別・年齢・趣味に関係なく、この時だけは全員同じ目になる。溢れ出る興味。
「音だっち」のCoiCoiも、やみがたい衝動があったのだろう。
★旅する目玉 北川民次さんの 銅版画