欲に負ける狂言の曲目

NHK「古典芸能への招待」を見る。

つい1ヶ月ほど前に、山本東次郎さんの狂言を見た。放送は、狂言方人間国宝3人が国立劇場で公演したもの。

東次郎さんも人間国宝。演じたのは「木六駄(きろくだ)」。

田舎に住む主人公は、都に住む伯父に伐採した木6本と酒の贈り物をする。

降りしきる大雪の中、使いに出たのが太郎冠者。酒樽を背負い、牛を曳いて峠にさしかかる。あまにの寒さに茶屋で一休み。

酒が欲しい → あいにく茶しかない → 背の酒樽を開ける → 茶屋の親父と2人で酒盛り → 気が大きくなる → 木をすべて茶屋にあげちゃう → 牛だけ曳いて伯父宅に着く

次第がばれて、太郎冠者は逃げる。チャンチャン。

狂言ハンドブック」三省堂刊。

山本東次郎さんは大蔵流だ。ところが和泉流では贈り物の木六駄に炭六駄も加わるのだという。

放送では、野村萬さん野村万蔵さんの「船渡聟(ふなわたしむこ)」もやった。彼らは和泉流だ。

1ヶ月ほど前に見たのは大蔵流・東次郎さんの「船渡聟」だったので、演出の違いがよくわかった。

流派だけじゃない。狂言は、演目と呼ばずに曲目という。

その曲目は、だいたい16種類に分類される。

大名狂言、小名狂言。大名とは主人側、小名とは召使い側。他に、御百姓、聟、女、山伏、出家、座頭。福神や鬼もいる。

集(あつめ)狂言は、その他を総称して。商人、友人、山賊、老人、唐人、盗人など。

主人公別でなく、舞狂言・復曲狂言・新作狂言と形式で呼ばれるものもある。

最近BS・CS放送に加入した。狂言専門チャンネルってないのか。

★旅する目玉 引地渉さんの絵

♪旅する鼓膜 Rumer - Aretha