猫は乙女にも親父にも

東海道線は、海岸沿いに東西に走る。

と思ってる、そこのあなた。ちゃんと路線図見た?

横浜・大船間をほぼ直線で南下する東海道線は、内陸を走るのだ。途中に、一つだけ戸塚駅がある。

一方、横浜から海岸沿いに大きく迂回して大船に至るのは、根岸線という。途中10駅もあった。

横浜に続く桜木町・関内・石川町の駅は根岸線なのである。山手・根岸・磯子根岸線と覚えよう。

石川町駅は私立女子校4つの最寄り駅なので、「乙女駅」と呼ばれているそうな。

ほぼ毎朝7時、神奈川県警を退職した蒲田さんはスクールサポーターとして乙女を見守っているニュースがあった。

地図を見たら、確かにフェリス女学院横浜女学院があった。

「あの猫も、下校時は乙女のアイドルになっているんだろう」と思い出す。

そもそも、駅は三方を高速高架に押し込められたように場所にある。暗渠の底部のような駅前。そこでコンクリブロックに立つ猫を見た。

しゃがんだ男が、けんめいに写真を撮っていた。じっとスマホを見つめる猫。

「飼い猫ですか?」

「さぁ?」。

駅から歩いて30秒のところにある「猫カフェ れおん」の客引き猫なのであった。30分900円で遊べる。店長は猫で、「名物 おひざ営業」もする。

首にひもがついてない。よっぽど信頼されてる性格なんだ。

石川町の西には、寿町があった。

現場労働者の人生波止場地域。ということは、乙女だけじゃなく、港湾荷役の親父にもアイドルなのかもしれない。

看板に反射する街路灯の光が、肉球に見えた。

★旅する目玉 リー・ミンウェイさんの糸

♪旅する鼓膜 Régis Campo De la rotation des corps célestes pour vibraphone