初買物はコーヒーだった


初詣に浅草寺へ出掛けた人も多かったでしょう。

メインストリートは、雷門から真っすぐ歩く仲見世通り。

今回は避けて、浅草駅上の松屋から大通りの馬道通りを歩く。公会堂東通りに左折した。

浅草繁華街は、浅草寺西側だ。東側は、普通の町。どうってことない地域をほっつき歩く。

ガラス戸から、コーヒーの豆袋と焙煎器が見える。FUJI COFFEE富士珈琲商会。

「一帯の喫茶店に卸してるんですか?」

「昔はね。今は様変わりして」。

2代目の親父さんのあきらめ顔。江戸三座があった猿若町に近いから、先代中村勘三郎に見えてくる。

Cブレンドを購入。「やや深煎り 苦味のお好きな方に」。

「100円のコーラを1000円で売る方法」の著者、永井孝尚さんの新著は「戦略は1杯のコーヒーから学べ」KADOKAWA刊。

彼は、飲食の専門家ではなく、13年まで日本アイ・ビー・エムマーケティングマネージャーだった人。

ドトールの勝因、UCCの缶コーヒー、マックのプレミアムロースト、スタバの再生、ネスレのコーヒーマシン、5度目で大ヒットしたセブンカフェ。

日本のコーヒー消費の歴史がひととおりわかる。コーヒーは他業界に宝に映るのだ。

それにしても、「我が町には『スタバ』が無い」と誘致の声が上がるのは、なぜなのか?

家庭でも職場でもない、第3の場サード・プレイスを作ろうとしたハワード・シュルツ。これが「らしさ」。

ところが成長と効率を優先して、いつしか「マックのコーヒーよりまずい」とまで言われるようになる。

シュルツは、「らしさ」を取り戻すためCEOに復帰。行き過ぎた合理化は、ムダと一緒に強みまで手放すことがあるのだ。

2008年大統領選挙の年、スタバは1回だけテレビCMをやった。事前調査で低投票率が予想される折り、

「投票に行った、とお店で言えばトールサイズ1杯さしあげます」。

公共参加で、これほど個人を称揚するプランがあるだろうか?

ソーシャルメディアがネタを拡散し、無償提供は実に200万杯。

読み終えたのは、浅草駅前のスタバ。富士珈琲商会3代目にも、ぜひ読んでもらいたい。

★旅する目玉 中村佑介さんの絵

♪旅する鼓膜 Jose Feliciano & Daryl Hall - Light My Fire - Live From Daryl's House