画家の資質でなく、症状

★旅する目玉 で、ビジュアルをアップしてる。

小説を読んで「作者は何を言いたいか?」というリアクションがある。言葉に対して言葉で考える。

ビジュアルの場合は違う。

もともと、文字では不可能な表現だから。それに、

文字の電子書籍に対して、紙の本にはテクスチャーがある。質感。

ビジュアルの場合は、その質感の差が激しい。★旅する目玉 を毎日アップしていると、フラストレーションが溜まる。とにかくナマを見たくなる。

森岡書店でやっていた中谷ミチコさんの個展。

ドレスデンに8年も滞在したいたらしい。骨太ゲルマン民族の町でよく生きてこられた、というほど繊細なモチーフ・技法・フラット感。

「僕はベーコン」パイ インターナショナル刊を見ると、繊細も中身が違う。

傷つきやすさを、反転攻撃する猛々しさ。「すべては無意味だ。だったら、異常でいるほうがましだ」。

フランシス・ベーコン

絵を見ると、まずは防御本能が働いて身を縮めたくなる。内臓をむしられて、ひっぱがされる。

正常な骨格が強制されて元にもどらず、皮膚が引き裂かれて表を歩けないような恐怖。

叫ぶ口から、散乱する手足や手足のない肉塊を想像するのは瞬時だ。無慈悲とか、一皮むけば同じってことか。

アトリエは、犯罪現場のように散乱してる。

カラになった絵の具のチューブ、染みだらけの鏡、使い古しの筆、積み上がった本、パレットがわりの壁、雑誌から破いた写真。

キャンバスの絵の具を拭き取るカシミアのセーターは、ぼろ雑巾のようだ。

本人は「堆肥」と呼んだ。

ダブリンの美術館にゴミの山が寄贈され、位置も忠実に再現保存されているというから、なんだか法医学的だ。

★旅する目玉 中谷ミチコさんの立体

♪旅する鼓膜 DJ MAYUMI - BERRY JAM