給水給食に、あと給考
横浜大桟橋から「ぱしふぃっくびいなす」号を見送ったとき、反対側には「飛鳥2」号が接岸していた。
キャビンに向かって叫ぶ。
「どぉこぉにぃ、行くんですかあぁ〜〜〜? 」
「なぁ〜ごぉ〜やぁ〜でぇ〜すぅ〜」。
名古屋まで2日の船旅か。「飛鳥2」は国内航路もあるんだ。稼ぎは海外航路なのではないか。
今年12月10日横浜発のクルーズは、ラバウル→オークランドからイースター島へ。チリ氷河→南極海から南米を回ってパナマ運河→アカプルコ→ホノルルそして横浜着。
「今ならなんと、480万円が430万円とお得」。これが最低料金で、最高は「2590万円が2320万円」。あのね、1人の料金だから間違えないように。
・最小催行人員:2名様
巨船に客が2名だけのシーン、見たいなぁ。
広告を見ながら、また「船旅に持っていく本は?」を考えた。
老夫婦2人で4640万円+お土産代で5000万円ポッキリ生活を送りながら、世の貧乏と不条理について考える100日クルーズはどうでしょう。
冥土の土産によくなくね?
1冊といわず、ここは正月から読んだものをみつくろって。
・「東京ドヤ街盛衰記」中公新書ラクレ刊
危ない反乱ドヤ街今いずこ。すっかり老人天国になって、介護施設がならぶストリートになってしまった。外国バックパッカーの聖地でもある。
・「ドストエフスキー」清水書院刊
巨塊のような作家に取り組むには、事前にどんな人だったのかをとりあえず知っておかないと挫折する。研究書にも手を伸ばしたくなる。
・「弥勒(みろく)」ちくま文庫刊
稲垣足穂コレクション全8冊の内第8巻。スキンヘッドに、冬でもふんどし浴衣暮らしだった。破天荒な貧乏大王の自伝的小説。
・「帝国の慰安婦」朝日新聞出版刊
ヘイトスピーチに反ヘイトがたしなめるのは、世界の趨勢。南太平洋には、かつての植民地がたくさんある。支配と被支配側の記憶の闘い。
どれも鉛を飲み込んだようになった。揺れがちな暮らしには、バラストが必要だ。
★旅する目玉 青木克世さんの立体