彫りが深い喜び哀しみ
エレナ・ボネッリのコンサートに行く。
イタリアのカンツォーネ、世界的に親しまれているのはナポリなどの南イタリアの歌なのだ。
対して彼女は、ローマのカンツォーネを歌う。うもれていたのを復活させた功績があるらしい。
サッカーで、国歌をまかせられる歌手がいるでしょ? 彼女もイタリアA代表の試合前に歌った一人。つまり、国民歌手のような人なのだろう。
民謡からラップまで、スタンダードからシャンソンまで。
ステージのスクリーンに、ローマの映像が流れる。いやでも「永遠の都」というイメージが増幅する。
政治は、ここに始まる。宗教は、ここが中心。建築は、ここが原点。都会型の恋愛は、ここが出発点。
ローマ生まれの彼女が、ローマを歌い上げる。
1943年まで、東京は府だった。
幕末江戸の大使館街、見世物小屋が並ぶ銀座煉瓦街、水の都だった新宿。乳房観と粉ミルク、幻の東京五輪盃、明治製菓広報マンの生業・余技・趣味。
風土が体質を生むのか、体質が風土になじむのか? ローマ人と比べると、東京人は「風前の灯」感が好きなのか?
この儚(はかな)さは、たとえコンクリで町ができるようになっても、石の文化が無いことを物語る。シャキッじゃなくて、ヒョロリ。
立体に対して、扁平。
大正8年の「パイノパイ節(東京節)」をまず聴いてから、エレナ・ボネッリに移動すると、違いがよくわかります。
はい。
★旅する目玉 梶浦聖子さんの立体
♪旅する鼓膜 [https://www.youtube.com/watch?v=5SU0THlBla8:title=Speciale Tg1 Rai - Elena Bonelli si racconta in "Suoni di Roma"
]