確かめる深さが違う

文章を書いて有名な人は、大勢いる。

でも業界的には一握りの評論家、ルポライター、小説家、コピーライターでしかない。後ろに、1000倍くらい「ら大勢」がいる。

彼らを影で支えるのが、編集者。この職種も、まぁ知られてはいる。知られてないのが、校正・校閲という仕事。

よく、通信教育の広告にある。「赤鉛筆一本で」「自宅でできる」仕事。

ってさぁ、大馬鹿野郎のコンコンチキ説明文。

どんな物書きでも、校正・校閲者に世話にならなかったら、品質が3〜5割ダウンすることがわかってない。資料類やデータにいたっては10割ダウン、無価値。

手元にハウス食品のペットボトル「ちょっと濃いめの優しいレモン」飲料がある。何が「ちょっと濃いめ」なのか、追求するのが校閲という仕事。平たく言えば。

30年以上はつきあいのある校正・校閲者「文字だっち」。前にも、柴田宵曲という人を教わった。

図書館から「幕末の武家青蛙房刊を借りる。サムライ・大奥・十手持ち・雲助などからの聞き書きを編集した柴田宵曲。幕末の言葉遣いがとてもリア充

その「文字だっち」から、郵便物が届いた。

姑・小姑マインドが無ければできない職種だが、深い見識・文化度も身についていることが彷彿とする。

大正時代の意匠を使用した切手を貼付けてきた。安直に、値段をクリアしていればいい、というセンスは無い。

そして、一言添える一筆箋。東郷青児美術館で見たジェームズ・アンソールが気に入り、代表作をあしらった一筆箋だった。

送ってきたのは「日本語の科学が世界を変える」筑摩選書刊。

・著者の松尾義之さんとは、彼が新入社員時代からの知り合いです。編集者は、養老孟司さんを長年担当してます。

サイエンス論文は英語で書くのが世界のあたりまえ。

どうして日本人がノーベル賞を穫るかといえば、日本語の中に科学を理解するための用語・概念・知識・思考が、明治以前に用意されていたから。翻訳だけじゃなく、伝統も。

卓見だ。

★旅する目玉 ポール・ジャクレーさんの絵

♪旅する鼓膜 Bryan Ferry - Don't Stop The Dance