読めなきゃ始まらない
経済書のベストセラー「21世紀の資本」を書いたトマ・ピケティが29日に来日した。
朝日新聞、日仏会館、駒場東大など、滞在中は講演につぐ講演。どれも開催発表と同時に「すでに申し込みは終了しています」とアナウンスしていた。
30日には、「第4回 パリ白熱教室」が放送された。ずっと見てる。
初回では、経済学の「ただならぬ重鎮顔」を想像していたのに、Mr.ビーンだから好感が持てる。
本が話題になったのは、世界的に不平等が拡大していることを指摘したから。不平等こそが常態。労働の所得格差は、資産所有の有無・格差に比べれば、どうってことない。
それも300年間の歴史で証明したから、反論できない。
では300年間の何を見て、彼は実証したか?
欧米の税務記録を分析したんだ。300年前にタイプライターは無かったから、ペン字の記録。
これなら現代人でも読めるだろう。
「知識欲の誕生」藤原書店刊を読んだ時も感じた。
いわゆる古文書というもの。日本では筆で古語を古文で書いてある。現代と断絶しているハードルをクリアしないと、データにアクセスできない。
著者のアラン・コルバン先生は、前にもおもしろい本を出した。
19世紀のフランス農村で暮らす木靴職人の話。日記・手紙類はない。「記録を残さなかった男の歴史」は、戸籍だけをたよりに彼の人生と日常を浮かび上がらせた。
「知識欲〜」の主人公は、小村の小学校教師。彼が村人相手に連続講演会をやった。ことだけはわかっているが、講演録は無い。
コルバン先生は、挑戦した。木靴職人の時より一歩進めて、講演録を想像で再現したのだ。
フィクションではある。でも小説家ではなく、歴史家だ。そんなカテゴリーは最初から無かったかのように越境するところが、好きだ。
★旅する目玉 [http://www.suitou-nakatsuka.jp/:title=中塚翠涛さんの書
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