装丁で売り出す手がある
画家って、なんだろう?
具象と抽象はわかる。
純粋絵画と商業美術。これは、どんどん垣根がなくなった。静止画が動画化されるのも、傾向でしょ。心構えとして、苦節○十年の人もいれば、インスタレーションに発露する人もいる。
発表の場として、画廊・ギャラリーはある。でも、おとなしく会期が終わるなんてことは少なくなって、イベントがらみが増えた。
レストラン、本屋、雑貨屋、セレクトショップで絵を発表する人も増えた。ワークショップ活動する人もいる。
行政も、美術館展示だけでなく、観光や町おこしに美術活用する。
もともと絵をやっていたが、ここ10年に活動を本格化した「画家だっち」から、本が送られて来た。
絵の人にしては、本をよく読む彼女。「孤独な娘」岩波文庫刊。著者のナサニエル・ウェストは読んだことない。
アメリカ大恐慌時代の作家。スタインベックは「怒りの葡萄」で内陸と西海岸を書いた。同時代にニューヨークを書いたのがナサニエル・ウェストだった。
孤独な娘Miss Lonelyheartsは、新聞で悩みごと相談に答える。
・16歳なのですが、いったいどうしたらよいかわかりません。
・こういうとてもつらい運命を負わされるようなことを、何かわたしはしたのかしら?
Miss Lonelyheartsのデスクの前には、いつも手紙が山積してる。腹立たしげににらみつけ、無理に気をしずめて、別の煙草に火をつけた。
答えの原稿を書いて、答えてないのは本人が一番知っているブラックユーモア。
装丁はナサニエル・ウェストのポートレイトだった。
そうだ、「画家だっち」は気に入った本の装丁画をやったらどうか?
歪曲する夢、浮遊する風刺の目、人生相談という奇妙な整理の仕方を絵にすると、どうなるのだろう。
★旅する目玉 ヴィヴィアン佐藤さんのイラスト