目覚めの父が読んだ本
2014年の出版販売額が、最大の下げ幅というニュースがあった。
ピーク時は、1996年で2兆6500億円。14年は、1兆6000億円。
約20年で1兆円が消えた。正確にはネットにスライドしたのだろう。
想像では、まずコミック。厚さ3cmの漫画を読んでいる人がいない。リクルートの情報誌も無くなった。地図や時刻表などのデータベース系も無い。若者向けライトノベルも見ない。
たぶん、これらで販売額の半分以上はあったはずだから、いわゆる書籍の販売は、伸びているのかもしれない。
「わが生涯の書物」水声社刊。
遅まきながら読書の習慣が始まったのは、ヘンリー・ミラーからだった。
アメリカ、大人、ニッチモサッチもいかない人生って、こういうことか。
新潮社にもヘンリー・ミラー全集はある。水声社のは全14巻に加えて、周辺本6冊の本格全集だ。社長のチカラの入れ具合を感じる。
本書は13巻。2段組みで600ページ弱あるから、ミラーのファンにはこたえられない。
ロレンス・クラーク・パウエルに捧げる
とあった。図書館司書に献辞するところが、いかにもミラーらしい。図書館のヘビーユーザーだった。
とはいえ、本に淫する人ではない。
・文学は、あらゆる分野において、二番煎じの思想から組み立てられている。
膨大に読まないと実感できないこと。
・問題は、残念なことに、まだ解き明かされたことがないが!
書いても書いても、意味深く思われることが、一部分にすぎないという欠落感。
だから、また読む。もっとも困難な方法が、もっとも容易な方法だとわかる結局な感じ、そのシーンで作家はどんな顔をしているのだろう。
・読書の量は少なければ少ないほど好ましい
本音だろう。
120ページにわたって、3千数百冊のリストがあった。
詩的であり、絵画的であり、音楽的であり、宗教的であり、空想的なミラーの文に、源泉あり。道徳的で不道徳な文学に、読書の訓練があった。
なんでも人にあげ、人からもらった作家。書物を提供してくれた友人たち、として名前が並ぶのも彼らしい。
120人も、僕に本を寄贈してくれる人はいない。
★旅する目玉 樋上公実子さんのイラスト
♪旅する鼓膜 浜田省吾「夢のつづき (Short Version)」