あやしいのが、愛おしい

曽根中生 自伝」文遊社刊。

映画会社の日活が、石原裕次郎から渡哲也へバトンタッチされて以降、スターを作れなくなった。起死回生策として出てきたのが、ロマンポルノ。

それまで助監督だった曽根さん。チーフ・セカンド・サード・フォースという序列の助監督の中で、最低のフォースだった。

ロマンポルノ路線になって、監督に抜擢される。できたのが「色暦女浮世絵師」。

それまでにもピンク映画はあった。時代ものはセット・大道具・小道具をそろえないといけない。「さすが大手の日活」と関心した思い出がある。

裏事情をたっぶり語る曽根さん。公開されては消えていく運命の低予算映画。現場を映画にしたらおもしろかろ。およそ映画史に書かれないことばかりなんで。

・「やめなさいよ。恥の上塗りなんて・・・」この一言が私に自伝を書かせる気にさせた。

例によって自分のプロダクションを設立し、つぶす。業界出入りの人脈から、魚の養殖業に転身。さらに「磁粉体製造装置」開発に至る。

映画裏事情に続き、パート2は地方での七転八倒を映画にするプロデューサーはいないのか? 監督・脚本・主演は、もちろん曽根さん。